漆黒に並ぶ影

最近テレビが壊れた。
YouTubeをつけると、勝手に地上波に戻ってしまう。
4年使ったら替え時なのだろうか。

テレビがよく見たいからという夫の意見で、結婚以来食事の時、夫と私は横一列に並んで食べていた。
テレビが壊れた今、目の前の真っ黒な画面を見ながら、箸とフォークの音が響くダイニングで、私は余り物の炒め
チャーハンをほおばっていた。
しばらく経ってから、娘の七五三のために美容室にいくかいかないかという話になり「子供が寝たら、少し探してみるね」
と私は言った。
すると、「はあ?声が小さすぎて聞こえない。言われない?ほかの人に、もごもごもごもご喋るなって」と夫が私に言う。
こうなるともう、私は口をつぐんでうつむくしかなくなる。でも、ここで何か「ごめんね」とか「はっきり話すね」とか言わないと
夫の機嫌が悪くなるってわかっているのに、心のさざめきが消えなくて、しばらく固まっていた。
すると、4回背中をどん、どん、どん、どんと手で打たれた。「なにか言うことは」と夫が言う。
これ以上の仕打ちになったら大変だと、私は「あとで探してみるね」と夫に届くように述べた。

食事の最中が一番怖い。食べながら、考えて、伝える、という作業が私にとってはかなり重労働に感じる。
それでも、今日なんて全然平和な方だ。明日も頑張ろう。